アジアの旅

伝説のシェルパの故郷「ターメ」〜エベレスト街道トレッキング最初と最後の村「ルクラ」【2021年エベレスト街道3パストレッキング⑧】

伝説のシェルパを輩出した村「ターメ」

ゴーキョから3パストレッキング最後の峠「レンジョラパス」を超えた先のルンデからは一気に下山ルートに突入する。ゴーキョをスタートしてレンジョラパスを越えてからのトレッキングルートは下りが続くので、ここからは一気にトレッキングのスピードも早くなる。ルンデからターメまでは4時間のトレッキング。かなりの距離があるが、下り道なので身体的には楽なトレッキング。道も比較的歩きやすいので安心だ。しかし、この日は不運なことにレンジョラパスを越えている途中から雲行きが悪くなっていた。それもあり、いつもよりペースアップしてターメを目指したがターメ到着手前ではすでに雪の中のトレッキングになった。この時期のエベレスト街道は、4,000m以下であれば地面が暖かいので雪が積もることはない。しかし、雪が積もらず地面がぬかるんでいるため雪山より歩きにくい場面もあった。天候はトレッキングの予定を大きく左右する要因なので、出発前に事前にガイドなどに確認した上でトレッキングを行った方が安心できる。

ターメ村はエベレスト街道でも有名な村ではあるが、村時代は小さな村に分類される。村の位置がナムチェとルンデの間に位置していることから、滞在するトレッカーは少ないようだ。ターメは優秀なシェルパを輩出していることで有名だが、見所は特にない。エベレスト登頂22回の世界記録を持つカリスマシェルパであるカミ・リタを輩出している村なので宿泊したロッジでもカミ・リタのポスターが大々的に貼ってあった。わたしが宿泊したときも、宿泊者はわたしのみ。それどころか村自体にトレッカーが宿泊していないように感じた。話し相手もいないので、ロッジのオーナーと談笑。オーナーの話では、この村で生まれた男性は一度はエベレスト登頂を経験することがしきたりになっているようだ。実際にオーナーもマウンテンガイドとしての登頂ではないが、20歳になった時にポーターとしてエベレスト登頂を経験したと言っていた。本当かどうか定かではないが、さすがカミ・リタを輩出した村という感じがした。久しぶりに標高の低い場所での滞在になったので、この日はぐっすり眠れた気がした。

ターメからナムチェへ戻る1日「安心のナムチェ」

ターメ村で1泊した後はターメ村を早々に出発して、次の村ナムチェへ急いで向かう。ターメからナムチェまでは3時間のトレッキング。本来レンジョラ・パスを越えた先のルンデで1泊してから翌日にナムチェまで下るトレッキングルートが主流であるが、ターメ村で1泊したのはナムチェでの滞在時間を稼ぐため。それくらいナムチェ滞在を楽しみにしていた。この日は時間に余裕がたっぷりとあるのでナムチェで存分に今までの疲れを癒やす。到着後すぐにロッジでホットシャワーを浴びる。ナムチェに滞在せずにもっと下ることもできたが、流石にアラサーの男子が3週間もシャワーを浴びていないのはダメだろうということもナムチェに滞在した大きな理由のひとつ。これがエベレストトレッキング初めてのホットシャワー。シャワー後の頭皮のさっぱり感には感動した。ちなみに、エベレスト街道でもホットシャワーを浴びれる場所は数軒ある。しかし、標高が高くなるにつれて値段も高くなる。シャワーを浴びなくても標高が高くになることで信じれないくらい気温も湿度も下がるので気持ち悪さを感じることはない。

ナムチェを訪れるのは今回2度目。3週間ぶりにホットシャワーを浴びて身体も気持ちもすっきりさせて、次はカフェで寛ぐ。ナムチェでトレッカーからの評価も高い「ナムチェベーカリー」を訪れる、パンとコーヒーは評判通りの美味しさでスタッフもフレンドリー。ついつい長居してしまうようなカフェだ。ナムチェベーカリーのスタッフ曰く、この1年間は日本人のトレッカーはほとんど見ていないが、ロシアや東欧のトレッカーは増えているだとか。今夜はナムチェのロッジで折角なので、「ヤクステーキ」を注文して、ナムチェでのリフレッシュを終えた。

エベレスト街道トレッキング最初と最後の村ルクラへ

この日はエベレスト街道トレッキング最終日。ルクラからナムチェまで2日間かけて上ってきたルートをひたすら下っていく。ナムチェからルクラまでは上りなので2日間は必要だが、下りは1日で十分。8時間に及ぶ長いトレッキングになるが、初日に滞在したパクディンまでは下りが続いているため体力的に厳しいトレッキングにはならない。トレッキングしてきた道を引き返すことは退屈で景観に驚きは少ないが、3パストレッキングとエベレストベースキャンプまでのトレッキングを終えた後に歩くとまた違った感情が湧いてくる。

途中に現れるたくさんの吊り橋たちは、ナムチェ以降はほとんど通ることはないがエベレストトレッキング感を演出してくれる。昼食は初日に宿泊したパクディンのロッジで取ることにした。パクディンまでは下りが続くが、ここからは緩やかな上りが続くため少しずつし辛いトレッキングになっていく。パクディンまで来たらルクラまではもう少し。

ひたすら歩き続けて15時頃にルクラのロッジに到着。これにてエベレストトレッキング終了。ルクラのロッジでは翌日のフライトのリコンファームの手続きをまとめてしてくれので、ルクラから飛行機でカトマンズに戻るトレッカーはロッジのスタッフにお願いする必要がある。トレッカーの多い時期は、トレッカーでチケットオフィスが混み合うことを防ぐためにロッジのスタッフが取りまとめるようになっているらしい。この日は長いトレッキングだったことと、ついにトレッキングを終えた達成感からすぐ眠たくなってしまった。翌日は早起きして早朝7時のフライトでカトマンズに到着。完