まさかの満室「タンボチェ村」。急遽、「デボチェ村」を目指す
クムジュン村で高山病を経験した翌日は、次の村タンボチェ村(3,860m)を目指す。クンデピーク下山後に高山病の症状が出てからはロッジで朝まで寝ていたためか翌日には高山病の症状が殆ど完治した。ここからのトレッキングは、一気に標高が上がって行く。クンデピーク(4,200m)で軽い高山病になったため、山岳小説から学んだ高山病対策として水を1日に4L飲むことを自分に課すことにした。(普通は1日3Lが目安?らしい)
すでに富士山の標高3,776mを超えてのトレッキングになるので、登り坂では当たり前のように直ぐに息が上がる。しかし、目の前には絶景トレイルが続くので何とか耐えることができる。クムジュン村からタンボチェ村までは約6時間のトレッキングだが、アップダウンの少ない道が続くので5時間くらいで到着。この日はタンボチェ泊の予定だったので、到着して直ぐに数軒のロッジを確認してみたが何故か全て予約済みで満室。コロナ禍でトレッカーが少ないため空きがあると思っていたが、どうやらサミットを目指す団体が多く宿泊予約しているらしい。タンボチェ村のロッジが満室という予想外の出来事から、急いで次の村「ディボチェ村」を目指すことに変更。後から知ったが、タンボチェ村は、エベレスト街道の中でも比較的大きな村で見所が多いので宿泊者も多いらしい。その中の1つがエベレスト街道で最大規模のチベット寺院タンボチェ・ゴンパ。
また、近くにはタンボチェリ(4,200m)と呼ばれる丘があり、多くのトレッカーが高度順応に訪れる場所である。わたしは訪れなかったが、他のトレッカーからはタンボチェリからはエベレスト、ローツェ、ヌプツェ、アマ・ダブラム、タムセルクなどの名峰を一望できると聞いた。タンボチェ村は宿泊施設が少ないだけでなく、サミットを目指す団体が宿泊することがあるためトレッカーの宿泊が困難な場合がある。ここに滞在する予定があるトレッカーは事前に予約しておいた方が無難だろう。タンボチェ村から次の村「デボチェ村」までは30分くらいの下りなので、デボチェで宿泊するのもあり。しかし、タンボチェリに登る予定であれば登り坂を再び引き返すことになるのでタンボチェ村で宿泊した方が良い。
デボチェ村のロッジではエベレストサミッター(登頂者)の集団に遭遇。コロナ禍にも関わらず今期も約500人がエベレスト登頂に挑戦しているのには驚いた。
大雪で足止め!?ディンボチェ村
デボチェ村からディンボチェ村(4,410m)への道もここまでの道と同じようにアップダウンの少ない道が続くため歩きやすい。どうでもいい余談だが、「デボチェ」と「ディンボチェ」は名前が似ているのでよく間違われやすい。デボチェ村からディンボチェ村への途中「ペリチェ村」と「ディンボチェ村」との分岐点がある。エベレストベースキャンプを目指す人はペリチェ村から目指した方が近道。しかし、エベレストベースキャンプに向けて高所順応をするためにトレッカーはディンボチェ村(4,410m)経由でエベレストベースキャンプを目指して帰りはペリチェ村経由で帰ることが場合が一般的らしい。ディンボチェの手前には、アマ・ダブラムベースキャンプへ続く道もあり、ディンボチェ村にはアマ・ダブラムサミッターたちも集結する。
ディンボチェ村は、アマ・ダブラムだけでなく、ロブチェ経由でエベレストベースキャンプやチュクンからアイランドピークを目指すトレッカーなど各方面へ向かうトレッカーとサミッターが立ち寄るためか他のエベレスト街道に点在する村と比較して大きい。さすがにディンボチェまで来ると、ロッジで購入するお菓子やミネラルウォーターの値段はナムチェと比べてかなり高くなっている。ロッジで購入したミネラルウォーター1Lは1本250ルピー。しかし、何故かディンボチェ村では安く売られている小さい売店(ミネラルウォーター1Lが1本100ルピーでナムチェと同額)が数件あったので助かった。
また、ディンボチェ村の裏山にはあまり日本人には知られていない(人気がない?)ようだが、ナガゾンピーク(5,100m)という5,000mを超える丘があり、高所順応に加えてアマ・ダブラムの絶景を堪能できる丘がある。所要時間は往復4時間で高所順応に丁度良い。今までのルートで1番急な登りだが、これから先5,000m以上の場所に行く前に5,000mを登れたということは高所順応だけでなく大きな自信にもなる。個人的にもエベレストベースキャンプに行く人はここで高所順応することをおすすめする。
ナガゾンピーク(5100m)から下山してから、雪が降り始める。
雪山トレッキング !?最果ての村「チュクン」
ナガゾンピークから下山した翌日。昼前になっても雪が降り止まない。どうにか少しでも先に進みたいが、昨日から降り続く雪で待ちぼうけを食らうことになる。雪が降ったのでここからのエベレスト街道は一気に雪山トレッキングになる。ガイドたちに聞くと春先にこれだけ雪が降ることは珍しいらしい。この日は、ディンボチェ→チュクン→チュクンリ→チュクンのトレッキングを予定していたが天候の影響で変更することに。ガイドと相談した結果、お昼までに雪が止めばチュクンまで移動。雪が止まなければディンボチェ延泊にすることにした。雪が降っているだけならトレッキングに問題はないらしい。しかし、積雪が15cmくらいあるためルートが雪に埋もれていることが不安要素とのこと。雪山でのトレッキングは非常に危険なため、少しでも先に進みたいという感情を押し殺してトレッキングガイドたちの意見に従うことが大事だ。
雪は降り続けているが、道が比較的歩きやすいディンボチェからチュクンまで移動できるかどうかを模索する。チュクンまではたった3時間のトレッキングなのでギリギリまで粘る。お昼になっても雪は降り続くが、同じロッジに宿泊していてアイランドピークを目指すルーマニアのトレッカーたちがチュクンまで強行するということでルールを勝手に変更して同じく強行することに。最初はガイドもあまり乗り気ではなかったが、ポーターの代わりに彼らが引き連れているヤクが先頭になりルート工作をしてくれるということが決め手となり便乗することが決定。しかし、最後の最後までヤクもヤク使いもこの大雪の中での移動を嫌がり渋っていた。結局、ルーマニアのトレッカーたちが追加でお金を出すということで話が纏まりラッキーなことに便乗できることになった。