アジアの旅

地獄の3パストレッキング1つ目「コンマラパス」〜カラパタールからエベレストを眺める【2021年エベレスト街道3パストレッキング⑤】

大雪!?チュクンでアマ・ダプラムを一望。

ディンボチェを昼過ぎに出発した雪山トレッキングを終えてチュクンに到着したときには、すでに夕方。ディンボチェからヤクを先頭に通常なら歩くこと3時間だが、出発が遅かったことに加えて雪山を歩いたので予想以上に時間がかかった。当たり前だが、雪山を歩く時は想定以上に時間がかかることを計算してトレッキングした方がいい。雪山を歩く場合はトレッキングマップなどに表示されている時間とは大きく変わることになるので注意が必要。チュクンまでの道は、アップダウンも少ない平坦な道なので、ディンボチェから日帰りでチュクンを訪れる人もいるみたい。しかしここまで来れば折角なので滞在してチュクンリに登ることをおすすめする。チュクンからはアマ・ダプラム、アイランドピークが一望できる。そして、チュクンリに登れば上記の山だけでなく、ローツェやマカルーまでも一望できる。

チュクン到着翌日は高所順応も兼ねてチュクンリに登る。チュクンリには、ハイピークとローピークがあり、どちらも5,000mを超えるが体力に合わせて選ぶことができる。また、イムザレイク(湖)を見るためにアイランドピークベースキャンプまでのトレッキングしてみるのも面白いらしい。チュクンまで一緒にトレッキングしたルーマニア人グループはアイランドピークベースキャンプに向かった。わたしはいつかアイランドピーク登頂に挑戦するだろうと思い、チュクンリだけのトレッキングにした。エベレスト街道でトレッキングをするまでアイランドピークのことを知らなかったが、ディンボチェやチュクン滞在中にいたアイランドピーク登頂者たちにかなり感化されてしまった。

コロナ禍に加えて大雪の中を強行突破してきたのでチュクンのロッジには宿泊者がほとんどおらず貸切状態。宿泊客がいないこともあり、エベレスト街道で一番心地の良いロッジだった。

地獄の3パストレッキング開始「コンマラパス」

そもそも3パストレッキングについては何故かインターネット上で書かれた記事は、ほとんどないので情報収集に苦戦した。ガイドによると、ほとんどの日本人はエベレストベースキャンプかカラパタールだけを目指すから。3パストレッキングを達成した者からすれば、この「コンマラパス」こそエベレスト街道トレッキングの醍醐味だと思う。通常は約10時間に及ぶチュクンからロブチェまで標高5,535mの峠越える絶景トレイルだが、絶景を堪能する余裕がないくらいに辛い。わたしの今回のトレッキングは雪山であったということも大きく影響しており、3パストレッキングで1番の難関だった。ロブチェまでの間はとにかくアップダウンが激しく、何度も急な登り坂を登ることになるので体力を消耗する。ちなみに道中には休憩できるロッジはない。昼食はチュクンからランチパックを持参することになるが、それすらゆっくり食べる余裕はなかった。しかし、そんな困難な状況でもロブチェに到着したときにはとてつもない達成感を感じれるトレッキングだ。

出発当日のチュクン出発は早朝6時。予想以上の雪山トレッキングで到着時間が読めないので、早朝からトレッキングを開始することに。午前中は天候も安定しているので朝からのトレッキングは安全。峠超えは大勢で行動した方が安全ということで、チュクンで知り合ったドイツ人とデンマーク人のカップルグループと一緒に行動した。雪山でのトレッキングは安全のためにできる限り大勢で行動することが基本らしい。

トレッキングガイドたちも口を揃えてコンマラパスは雪が積もっていなくても朝7時までには出発した方がいいと言っていたので、早朝の出発をおすすめする。そして、これから3パストレッキング(コンマラパス)を越える予定のトレッカーは、ガイドとポーターを付けることもおすすめする。経験豊富なトレッカーならいいが、20kgの荷物を背負ってのコンマラ峠超えは普通のトレッカーには無謀過ぎる。コンマラパス以外の峠越えにはトレッカーがルートを間違えないように目印があったりするが、コンマラパスにはないので特にガイドはポーターよりも重要になる。ポーターとガイドを兼任してくれるポーターガイドなる人もいるので3パストレッキングを予定している人はポーターガイドを雇えば予算を抑えることができる。

ちなみに、わたしたちはガイドとポーターがいるにも関わらず、道に迷うことになる。5,000m超の場所に大雪が積もっていることは予想していたが、予想(積雪40cm以上)を超えるほど積もっていたので途中でルートが見失ってしまった。ルートを見失ったと気付いたときにはすでに出発から6時間も歩いており、疲労困憊状態。不安から全員のフラストレーションは、爆発寸前。その後、何とか3時間を費やしてルートを見つけることに成功したが、ガイドやポーターがいなければ間違いなく遭難していただろう。ガイドやポーターの焦りからも雪山の恐ろしさを実感することになった。ロブチェに到着した時には、全員が疲労で倒れそうになっていたが何故か達成感で心地良かった。結局、チュクンからロブチェまで14時間で到着。かなりの時間を歩いた。

ロブチェからエベレストを一望できるカラパタールへ

翌日は筋肉痛で身体はボロボロだったが、休息日をつくらずにロブチェからエベレストを一望できる「カラパタール(5,643m)」へ向かう。次の日はエベレストベースキャンプに行くので、通常はロブチェからカラパタール手前の村ゴラクシェプ(5,125m)に宿泊するが、前日の疲労具合と高所であるカラパタールでは十分に疲れが取れないと判断してロブチェ泊を延泊することにした。ロブチェですら標高4,910mもあるが、延泊すれば荷物を運ぶ必要がないのでガイドもポーターも楽になる。前日のトレッキングでガイドとポーターも疲労困憊。特に、ポーターはサングラスをしていたにも関わらず、一日中太陽の照り返しを浴びたことで目を負傷。急遽、ポーターだけが治療のために下山することになるという大事態になる。何とか代理のポーターを探して続行できたことは奇跡に近い。今回は疲れもある中で強行したが、ガイドとポーターの調子も考慮して予定を組むことは重要。彼らのモチベーションが低ければ残念なトレッキングになってしまうので注意が必要だ。特にわたしのような日本人とレッカーは時間に余裕がないため、無理な予定でトレッキングを遂行しがち。無理なトレッキングは高山病や遭難など危険な目に会うリスクが高くなる。

ロブチェからカラパタール手前の村であるゴラクシェプ(5,125m)まではアップダウンの少ない道を3時間歩く。このルートを通るトレッカーも多いので道も分かりやすい。ゴラクシェプ(5,125m)はエベレストベースキャンプ手前にある小さいロッジが数件あるだけの村。カラパタール(5,643m)はそのゴラクシェプ(5,125m)の裏手にある丘で、一般的に見ることができるエベレストの写真はカラパタールから撮影されているものが多い。日本人トレッカーにも人気の場所で、カラパタールを訪れるためにエベレスト街道をトレッキングする人も多いらしい。

ゴラクシェプ(5,125m)からカラパタールピークまでは往復4-5時間。流石に急な登りが続くがコンマラパス(5,535m)やナガゾンピーク(5,100m)ほどではない。